ある晩、阿蘇へ向かう途中の道で、
闇の中にふっと浮かぶ黒い影を見た。
光でも、動物でもなく、
ただ“こちらを見ている何か”のように感じられた。
その瞬間から、私の頭の中では
一羽の黒い鳥の物語が動き始めた。
赤く灯る一点の輝きは、
「心にまだ消えない炎がある者だけが見える」
と古くから囁かれてきた象徴だという。
闇のなかで迷う者に向けて、
鳥は無言のまま立ち止まり、
何かを問いかけてくる。
私はその一瞬の気配を、
油画棒――クレパスのざらついた質感と、
指で擦り込むような描き方で閉じ込めたかった。
闇の深さ、風の流れ、影の温度、
すべてが混ざり合い、
**「夜と心の境界線」**そのものを描こうとした。
この鳥は実在しない。
しかし、確かに“見えた”。
そして、それを形にしたのが本作である。
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